なぜか自分より”格下の男”に引かれてしまう女性の心理とは?
よって現在は、妻の収入に寄生しているヒモみたいなものだ。
Mはそんな夫に困惑しながらも、心のどこかで開き直っている部分もあるという。両親から、「なんで、あんな男と結婚したのか」と抗議されることもあるらしいのだが、それが自分の性分なのだから仕方がない。思えば夫と出会ったばかりのころ、当時はまだ化粧品メーカーの社員だったMは、彼の全身から醸し出されていた頼りない雰囲気と冴えない生活ぶりに、どういうわけか魅力を感じてしまったのだ。
おそらく、そんな彼と一緒にいることが自分にとっての安心材料だったのだろう。Mは当時の気持ちをそう述懐する。
起業を目指して化粧品メーカーでバリバリ働いていたころのMにとって、仕事のできる男性は最大のライバルだった。どうせ女はいつか結婚して寿退社するのだから長期的で重要な仕事は任せられないという、従来の女性社員に対するイメージを覆そうと、躍起になって仕事に励んだ。
Mの中には、女だからと舐められたくない、男に負けないくらい評価されたいという強い意志があり、だから自分より仕事のできる男は尊敬や羨望の対象ではなく、いつしか敵意と衝突の対象になった。そして、そういう上昇志向の気丈な意識はプライベートにも影響するようになり、当時のMは仕事のできる優秀な男と一緒にいると心が休まらなくなった。