疲れた心と共に、本の世界へ飛び込む。【TheBookNook #4】
と真っ直ぐに偽りなく語ってくれます。読後は一見地味な日々の営みがほんのり甘く色付いて、自分の存在が限りなく尊いものに思えるから不思議です。
3.原田マハ『本日は、お日柄もよく』
原田マハさんといえば美術関係の作品を思い浮かべる人も多いと思いますが、本書はそんな原田さんの専門分野が解禁される前の作品です。物語は“スピーチライター”という職業にスポットライトが当てられており、作中には名言がいくつも登場します。
そして本のタイトルにもなっている「本日は、お日柄もよく」。物語の序盤でも目にするこの言葉ですが、終盤になるにつれてその素晴らしさが身に染みて、自然と涙腺が緩んでしまっていました。それくらいこの作品は“言葉”の一つひとつが選び抜かれていて、問答無用で私たち読者を虜にしてくれます。読後には少し背筋を伸ばして、自分の発する“言葉”を大切にしたくなるはずです。
本日はお日柄も良く。
■お守りみたいな作品で心に安らぎを
疲れた自分に寄り添ってくれるような、お守りのような一冊があると、とても心強い気持ちになるものです。
いや、本でなくても構いません。歌でも、映画でも、なんでもいいんです。