読めばきっと好きになるSFの世界(短編集)【TheBookNook#9】
50年以上も前に書かれた作品とは思えない世界観と、想像できそうでできない結末に何度でも搔き乱されたくなります。
一作一作の物語はかなり短いにも関わらず、展開が二転三転するスピード感とそのオチを理解した後にもう一度読まずにはいられなくなる表現力の高さに気づけたのは大人になってからでした。星新一、恐るべし。
2.キム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』
韓国人SF作家の初短編集。本作はコミュニケーションを主題に、コールドスリープやファーストコンタクト等SFの定番ネタを盛り込んで紡がれていきます。SF要素が強いのに不思議と物語に住む人たちは現在の私達とそれほど心持ちは違わず、親しみやすいのが印象的です。
そう、なんといいますか、SF小説を読んでいたつもりが、いつのまにかどうしようもない現実に目を向けてしまっているような……一度読んだら癖になる面白い読書体験でした。もしこの物語の結末にあなたの心が動いたとしたら、現代で自分がすべきことは何か、“片手間に”考えてみてください。
かなり引力のある作品なので読後の感情は自己責任でお願いします。
3.倉田タカシ『あなたは月面に倒れている』
短編でも強い刺激を感じたい人におすすめの作品。