暗闇のソーシャルエンターテインメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」とは?
足元がやわらかい。草の匂いがする。
あれ?広いところに出た?
鳥の声が聞こえる。水の流れる音も。
「そうなんです。皆さん、どうぞ歩いてみて、いろんなものを感じてみてください」
アテンドの言葉にうながされ、おそるおそる散策を始めると……いつの間にか、わくわく気分のほうが高まって、暗闇の中の冒険に夢中になっています。
ぽろぽろした土の手ざわり。カサコソ音を立てる枯れ葉の感触。
葉っぱの匂い。ちくちくする木やごつごつする木。かと思えば、「こっちにおもしろいものがあるよ!」という声や「こっちってどこ~?」という声も。
誰かの声が聞こえるだけで、こんなにほっとするなんて――。それだけでも発見なのに、「どう伝えるか」についても考えさせられることが度々です。
たとえば、「橋を渡って向こうに行きましょう」と言われたはいいものの……暗闇の中で橋を渡るなんて、足がすくんでしまいそう。そこへ、先に渡った人たちが
「次に段がありますよ」
「だいたい3歩で渡り終えますからね」
と声をかけてくれるので、安心して前に進めます。もしも足を踏み出すところがわからなければ、「どこですか?」と尋ねていいのです。