壮絶なレイプシーンから始まる――世界中で物議を醸した『エル ELLE』が問いかけるもの- 古川ケイの「映画は、微笑む。」#20
◼︎衝撃作『エル ELLE』が世界中で物議を醸したワケ
※本作は過激なレイプシーンを含んでおります。そのような描写が苦手な方や、嫌悪感のある方は鑑賞にご注意ください。
第89回アカデミー賞・主演女優賞ノミネート、第74回ゴールデン・グローブ賞・主演女優賞、外国語映画賞受賞など全世界で125ノミネート、64の賞を受賞した話題作『エル ELLE』。
壮絶なレイプシーンからスタートする衝撃的な本作。
この作品が世界中で物議を醸している理由は、強烈なキャラクターを持つ主人公・ミシェルがレイプ犯に向けてとる「ある不可解な行動」にあります。
そして、本作がサスペンスでありながら、全編を通じてウィットに富んだブラックユーモアに溢れ、コメディとして仕上がっている点も、賛否が分かれる一因といえるでしょう。
被害者が「被害者らしく」あることを求められる世間に対し、常識やモラルなんてクソくらえ!と真っ向から挑みかけるようなミシェルの強烈なキャラクターは、「女性の権利にとって革命的である」と賛成派から多数の支持を集めています。しかし一方で、そのあまりに衝撃的な展開に異を唱える否定派も存在しているのです。