壮絶なレイプシーンから始まる――世界中で物議を醸した『エル ELLE』が問いかけるもの- 古川ケイの「映画は、微笑む。」#20
当時10歳だったミシェルも、事件に何かしら関与しているのではないかという疑惑の目を向けられていたのだった。
二度と警察には関わりたくないと、自ら犯人を探し出そうとするミシェル。だがついに、犯人が暴かれたとき、ミシェルがとった不可解な行動により、犯人よりも恐ろしい彼女の本性も明かされていく――。
◼︎現在64歳!主演女優イザベル・ユペールの怪演に目が離せない
本作の主演を務めるのは、フランスの大御所女優イザベル・ユペール。
舞台やテレビを経て1972年に映画デビューしたユペールは、2001年の『ピアニスト』でカンヌ国際映画祭女優賞を、2002年の『8人の女たち』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したほか、これまで、フランスのアカデミー賞にあたるセザール賞の主演女優賞に史上最多の14回ノミネートされている演技派です。
また、カンヌ国際映画祭の審査委員長や、フランス映画祭の団長、NHKの「ルーヴル美術館」でナビゲーターを務めるなどその活動は多岐に渡ります。
本作『エル ELLE』の主人公について「ミシェルには破滅的なユーモアがあるの。まるで毒を乗せた皿を差し出し、”本当におかわりはいらないの?”と微笑んでいるようでしょう」