■「有」とイメージしてみよう
前回は「無」について触れたので、今回はそれに相対する「有」という文字を選びました。「有」と聞いてあなたは何をイメージしますか?
漢字から私がまずイメージするのは、「presence」「肯定する」「存在する」という言葉です。
「無」が純粋無垢で、あなたが何かを見てその物に色を付けない状態をいうのに対して、「有」はあなたの意志が加わり存在する物をイメージさせます。
「有難う」という言葉にも「有」が使われていますね。漢字の意味のごとく、「滅多にないようなことが有る」という素敵な言葉です。「ありがとう」とひらがなで書くよりも漢字で書く方が気持ちが深くなり、感謝が伝わるように感じます。
■「蓋聞二儀有像顕覆」
前回の「無」のときに「雁塔聖教序(がんとうしょうぎょうじょ)」について触れましたが、同じ文章の中に「無」に対するものとして「有」という文字があります。
「天地(二儀)は像を有しており、私たちの頭上を覆いつくす天と私たちを乗せている地は生きるもの全てを包んでいるものである。一方では四時(春夏秋冬)には像として顕れることが無く寒暑に潜んで万物を変貌させるので賢者でも理解することはできない」