パステルカラーな音楽絵本『山本容子のジャズ絵本 Jazzing』に癒やされて……
『山本容子のジャズ絵本』はまさにタイトルに偽りなし。山本容子本人が、20世紀に生まれたさまざまなジャンルの曲を絵と言葉で紹介しています。
「雨に唄えば」「ニューヨーク・ニューヨ―ク」「モナ・リザ」「星に願いを」などなど、名曲揃いの全24曲。しかも、人気銅版画家がそれぞれの曲をイメージして描いた絵が1冊にまとめられているのですから、それだけでもかなり贅沢。
■観てよし
音楽という時間の流れのあるものを、彼女ならではのイマジネーションで、1枚の紙のなかに見事に描き切っていて、作品集としても見応えじゅうぶん。歌詞や音符まで絵の小道具にしてしまうところがなんとも洒落ています。彼女が表現している曲の世界観は、自分がその曲に対して漠然と思い描いていたイメージとは違っていたり、でも、どこか重なっていたり。
どの絵にも大胆さと繊細さ、哀愁と洒落っ気、それになんとも言えない温かみがあります。
そして、もちろん、色使いの美しさ。不思議な心地よさを感じます。これぞまさしくパステルカラー・マジック。
■読んでよし
絵に添えられている文章も、いちいち気が利いています。長すぎず、短すぎず。曲にまつわる豆知識やエピソードに触れながら、作家本人の人生観をすこしばかり織り交ぜて……。