アカデミー作品賞ノミネート! 『シェイプ・オブ・ウォーター』はアメイジングなおとぎ話 古川ケイの「映画は、微笑む。」#39
◼︎切なくも愛おしい、新たなるファンタジー・ロマンスの傑作
本日ご紹介するのは、ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる「金獅子賞」を受賞し、来たるアカデミー賞でも作品賞・監督賞・主演女優賞をはじめ、多数の賞にノミネートされている『シェイプ・オブ・ウォーター』です。
内戦後のスペインに生きる少女を描いたダーク・ファンタジー『パンズ・ラビリンス』や、菊地凛子・芦田愛菜も出演したSF怪獣映画『パシフィック・リム』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督が、清掃員として働く口のきけない中年女性と、半魚人のような姿をした不思議な生きものとのロマンスを描きます。
種族を超えたラブストーリーはこれまでも、『シザーハンズ』やディズニー映画『リトル・マーメイド』『美女と野獣』などで描かれてきました。しかし、本作はこれまでの作品とはひと味違います。その理由は、恋に落ちるふたりがどちらも見た目麗しい美女や美男ではなく、社会からはみ出した者たちであること。
60年代という時代設定ながらも、どこか新しさを感じる、おとぎ話の傑作の誕生です。
◼︎『シェイプ・オブ・ウォーター』のストーリー
1962年、アメリカとソ連の冷戦時代。