歴史とアートを感じながら散策 ~アートを旅する街、松本
松本はご存知、松本城をかかえた城下町。北アルプスなどの山脈を背景におおらかさと歴史を重ねあわせた情緒が魅力。伝統を守りながらも現代アートなど新しいものへの関心も盛んで、クラシックな街並みと奥深いカルチャーライフが訪れるわたしたちを魅了します。
その松本の観光スポットのメインとなるのが中町通り。なまこ壁の土蔵が続き、人気の高いクラフトショップ、伝統工芸、カフェ、アンティークショップが集まり、ゆっくりと散策を楽しむのがおすすめです。
松本文化クラフトワークに触れる宗教学者であり美をこよなく愛した柳宗悦(やなぎ むねよし)が提唱したアート運動が民藝(みんげい)。有名作家ではなく職人たちが作る生活用品にこそ美が宿るという考えで一大ムーヴメントを巻き起こし、中町通りを中心に古美術、民芸・工芸品を扱う老舗が松本のクラフトワーク文化を担ってきました。その中心が「ちきりや工芸品」。
松本の民藝運動の中心的存在、丸山太郎が初代オーナーの民芸店。松本に来たらまず訪れたい場所のひとつといえます。
カラリと扉を開けると店内には透明感ある色鮮やかなガラス製品、温かみのある陶器、世界各地のクラフト雑貨などがギッシリ。見ているだけで飽きないバラエティに富んだ品ぞろえに心が躍ります。手にとって見るとプライスも驚くほどリーズナブル。普段使いしてこそのクラフトものだということをそっと教えてくれているようでうれしくなります。
雰囲気の良いクラフトワークショップ中町通りにはそれは魅力あふれる店が多いのですが、どれもそれぞれ個性的。ここはぜひ、ゆっくり時間をとって探索したいもの。「アール・ド・ヴィーヴル」とはフランス語で「暮らしの中の美学」という意味ですが中町通りでそんな上質で美しいライフスタイルを彩る日用雑貨を扱うのが「陶片木」(とうへんぼく)。唐津焼きに魅了された店主が始めたクラフトワークを中心とした店舗は、この店のために松本に通う人たちもいるほど長く愛され続けています。
外観は伝統的な日本家屋。元は印刷所だったという「陶片木」の店舗には、雑貨・小物好きを夢中にさせる全国から集められた手仕事の逸品がそろいます。美しいモノたちは美しい場所で。そんな店主の想いを感じる空間はゆっくりと時を刻むよう。
人気のバターナイフ、すり鉢など店主みずからデザインした製品は造り手から使い手へと手渡される現代の民藝アートワークそのもの。しみじみと愛おしい存在です。