・一発でガツンと大きくトクする! 家計を元気にする税金のイロハの続きです。
税金の制度が、すごい勢いで変化している中、いちばん大きな変化が起こっているのは、
「贈与税」だという。
このいちばんホットな
「税金のおトク」分野である贈与税について、税理士の
湊 義和(みなと よしかず)さんにお話を伺った。親が元気な30代にとって、贈与税はじつは
もっとも活用できる税金といえるかもしれない。
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■贈与税がかからない「仕組み」が増えている
「最近は、
『教育』『住宅取得』など、はっきりとした目的のある場合は、
贈与税をかけない仕組みが増えています」(湊さん)
贈与税を緩和することで、世の中に流れていくお金を増やし、社会全体のお金の流れを良くしようというのが狙いだという。今回の取材で、私が「一番面白い!」と感じたのは、この
「贈与税が緩和された意図」だ。
少しマニアックな話になるかもしれないが、「税金を身近に感じるキッカケになるのではないか?」と思ので、贈与税が緩和された
「裏事情」をお話しておこう。
■平均寿命が延びたことが、贈与税緩和につながる
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いままで
「贈与税」は、「相続税」に比べると
割高な税金だった。なぜなら、国はお金の世代間の移動に課せる税金は、「相続税」で行おうとしていたからだ。
簡単に言えば、親が亡くなり相続が起きるときには税金は優遇するが、親が生きているときにお金が世代をまたぐことは(贈与すること)は、あまり良しとしていなかった。
けれども平均寿命が延びた昨今。パパママ世代がもっとも大金を必要とする時期(「住宅の頭金準備」や「教育費のピーク」)に、おおかたの親は元気で、
相続が起こらない。
そうすると、どうなるか? 本来、社会に流れるはずのお金が、高齢者の元に留まってしまうのだ。このあたりのお金の流れをスムーズにするために、贈与税の仕組みが
緩和の方向へと向かっているそうだ。
それでは贈与税が、どれくらい家計を元気にするのか?
「住宅購入資金の特例」を例にとり、具体的な数字を出して紹介しよう。
■住宅購入資金で、親もパパママも税金対策できる
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父母、祖父母など直系尊属の人が、子どもや孫に住宅取得のための資金として贈与した場合には、購入する住宅の種類や購入契約時期に応じて、最高で3,000万円(消費税が10%に引き上げられるまでは最高1,200万円)までの
贈与が非課税となる。
Q. 「住宅購入資金の特例」は、どれくらい家計を元気にしますか?
A. たとえば1,000万円を住宅資金として贈与された場合、177万円です。
「住宅購入資金の特例を使わない場合」と「住宅購入資金の特例を使った場合」を
比較してみよう。
■特例を使わない場合
→住宅資金贈与で「贈与税」がかかってしまう
父が息子(パパ)に1000万円の住宅取得資金を贈与した場合、次の計算式により、通常の贈与税が計算される。
(1,000万円 − 110万円(基礎控除額)) × 30%(通常税率)− 90万円(直系卑属への贈与に関する速算表計算した数字)=177万円(贈与税)
税金で差し引かれてしまう金額は、案外大きいことがおわかりいただけただろうか。せっかく父が1,000万円を息子にあげようとしても、177万円もの税金を支払う必要が出てしまうのだ。結果、息子が実際に手にするお金は823万円になってしまう。
父の側からみると、財産が1,000万円減少するので、少なくとも相続税対策にはなっている。
だから、贈与をすること自体は、「支払う税金を少なくする」という意味では、悪いことではない。しかし父が贈与してから万が一3年以内に亡くなってしまうと、その贈与がなかったことになってしまうというデメリットがあるので注意が必要だ(※1)。
■特例を使った場合
→住宅資金贈与で、親もパパママも税金対策できる
「住宅取得資金の贈与の特例」(※2)を使うと、1,000万円全額が非課税となるので、贈与税を支払う必要がない。つまり、その分の金額177万円で家計が元気になる。
もちろんこの場合も、父の財産は1,000万円減少するので、相続税対策になる。さらに、住宅購入資金の特例を使った場合は「3年以内贈与規制」にも引っかからない。つまり、「パパママ側」「親側」両方で、
いつでも税金対策を行える心強い仕組みなのだ。
次回は、
「住宅ローン控除を利用できる人、利用できない人」です。
この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。
■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書
『
家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ』
湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)
湊 義和さんプロフィール
中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。
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