イラスト:なーみん
「最近、経済的な理由で子育てを躊躇する人が少なくないんです」と言うのは、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナーの
横山光昭(よこやま みつあき)さん。横山さんは、子どもを6人育てているお父さんでもあります。そう、何と! 6児のパパなんです。
教育費については、わからないことだらけです。そこで横山さんに、「
もし手取り20万円の場合、子育てにまつわる不安を解消できるのか?」を伺ってきました。
横山光昭さん
(左)横山光昭さん、(右)横山さんの奥さま関口博美さん
家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで15,000万人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
■横山家は、奥さまがスゴかった!
今回の取材は、横山さんの奥さまである関口博美さんも同席してくださいました。取材の冒頭で、「教育費、そんなに心配することはないですよ。大丈夫!」とおっしゃる関口さん。
6人を育てているママの言葉は、貫禄が違う! 筆者は思わず、「今日の取材、その言葉を聞くために来ました!」と言ってしまいました(笑)。
かたわらで話を聞いていた横山さんもニコニコしながら、「うちは、奥さんに頭が上がりませんから」とのこと。
関口さんは言います。「教育費の心配をされている多くの方は、一気に情報をいれすぎてパニック状態になってしまっているのかもしれませんね」。今回の連載では、教育費についてどう考えていけば良いのか? 段階を追って説明します。
■教育費1,000万円は、「リアルな数字」!?
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横山さんから、最初にこんな質問を受けました「
『教育費は一人あたり1,000万円かかる』と言われていますが、それは本当に
『リアルな数字』だと思いますか?」
たとえば、幼稚園。公立の幼稚園は全国的にとても少ないため、幼稚園は私立に行くことを想定したほうが自然です。ある私立幼稚園は、入園金と制服代で13万円かかるとしましょう。「けれども、13万円の一部は返ってきます」(横山さん)
入園料は一度自分たちで立て替えて払う必要がありますが、申請すれば自治体が決めている上限までの実費分は返ってきます。
「ご自身がお住まいのエリア+幼稚園+補助金」といったキーワードで、自治体の補助金額を調べてみてください。
「こんな感じで検証していくと、実際に家計から捻出する『リアルな出費』は、1000万円よりも少ないことがわかります」(横山さん)
そう考えると、「1000万円!? そんな大金、絶対に貯められない!」とパニックになっていた気分が少し落ち着きます。
■教育費は、「2つ」に分けて考えるのが正解
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そうは言っても、
児童手当をゼロ歳から15歳まで積み立ててみても、
総額で約198万円。1,000万円には遠く及ばない気がします…。
「1,000万円という数字は、一気にかかるわけではないんです。まず、教育費は
『イニシャルコスト』と
『ランニングコスト』の2つに分けられる、と覚えてください」(横山さん)
幼稚園を例にとって、「イニシャルコスト」と「ランニングコスト」を分けて考えてみましょう。次のように、私立幼稚園のイニシャルコスト10万円という額は目をひきますが、その他の項目であれば、日々の家計から何とかなりそうな気もしてきます。
▼幼稚園にかかるお金の目安
◆イニシャルコスト:最初にまとめてかかるお金
公立幼稚園入園 4万円
私立幼稚園入園 10万円(自治体から補助が出る可能性も)
◆ランニングコスト:幼稚園在籍中に継続的にかかるお金
公立幼稚園 月額1万円強
私立幼稚園 月額2~3万円(自治体から補助が出る可能性も)
出典:『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』(横山光昭・朝倉真弓/きこ書房)
■大学までの教育費の「イニシャルコスト」は?
こんな感じで、「幼稚園と大学が私立で、小・中・高は公立に通う」という一般的なコースのイニシャルを計算してみると、総額で、およそ130万円でした。
詳細については、次の表を参照ください!
▼イニシャルコスト
<「幼稚園と大学が私立で、小・中・高は公立に通う」コース>
■大学までの教育費の「ランニングコスト」を知る
次に、「幼稚園と大学が私立で、あとは公立に通う」という一般的なコースのランニングコストを調べてみました。次の表を見ればわかるとおり、大学までのランニングコストは、生活費の範疇で何とかできそうな額です。
▼ランニングコスト
<「幼稚園と大学が私立で、小・中・高は公立に通う」コース>
■キツい大学のお金を貯めるのは、可能なのか?
表にしてみると、大学の授業料負担が目立ちます。「でも考えてみてください。子どもが0歳だとして、大学に入るのは
18年後のこと。18年間コツコツと貯蓄していれば不可能ではない数字だと思いませんか?」(横山さん)
…そう、ですかね?
「子どもが小学校にあがったら、妻もパートに出るなどして働くことができます。奥さんの稼ぎがパート収入の一般的な額である月8万円だとしたら、世帯収入は、
「20万円+8万円=28万円」になります。
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「子どもに手がかかる乳幼児期と、出費が増える大学在学中以外は、お金を貯めるのに最適な時期です。その間に、お父さんとお母さんが力を合わせて貯金をしていれば、心配することはありません」(横山さん)
【まとめ】手取り20万円 教育費の貯め方
1)教育費1,000万円は、一気にかかるお金ではない
2)教育費は最初にかかるイニシャルコストと、定期的にかかるランニングコストに分けて考える。
3)児童手当を積み上げると、少なくとも総額198万円になる
■今回のお話を伺った横山光昭さんのご著書
『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』
(横山光昭・朝倉真弓/きこ書房 ¥1,100(税別))
手取り月収20万円、ボーナスなし、昇給見込みなし…。子育てのお金にまつわる不安は、ちょっとしたコツさえ知っていれば、大学資金をしっかり貯めて、習い事もさせてあげられます。相談者・高梨(たかなし)が、横山先生に率直な質問をぶつけるストーリー形式で、いつのまにか教育費の考え方が変わっていきます!
手取り20万円を前提に書かれていますが、手取りが異なる家庭でも、教育資金の貯め方や保険の選び方など参考にしながらお金について考える機会となります。
かに座は「自分を愛することがカギになる」