連載記事:わたしの糸をたぐりよせて
夫に相手にされていない?私たち、かけちがえたボタンみたい【わたしの糸をたぐりよせて 第2話】
前回からのあらすじ
アパレル業界への就職を望むも夢をかなえられなかった友里。就職した会社で出会った亮と結婚し、子どもを産むが、転勤により自分の地元に戻ることに…。変わってしまった地元、そして何より亮の態度が冷たくなり始めた…。
「夫とは口喧嘩ばかり…幸せな家庭が壊れかけていく」
■夫の姿にドキっとする私
亮は年度末ということもあって残業続き。おはようくらいしか会話をしない日が続いた。
(もう少しで入園式なんだけど、亮くんちゃんと来てくれるのかな)
そう思いながらはたと気づいた。私、入園式に着ていくスーツ、持ってなかったんだ。
(どうしよう……)
「ただいま~」
亮がリビングに入ってきた。
私は幼稚園に出す書類を書きつつうたた寝してしまったらしい。
「おかえり、ごはんの支度するね。遅いからお茶漬けでいい?」
亮はうなずきながらお風呂場に向かっていった。
……5分ほどして亮がお風呂から上がってくる。亮は上裸、長めのスウェットパンツで出てきた。出会った頃と変わらず、筋肉質な身体だ。
「友里、なに見てるんだ?」
私は気恥ずかしくなりながら熱々のお茶漬けを差し出した。
「あのね、亮くん。
私、気がついたことあるんだけど……」
「なに?」
「入園式に着ていくスーツ、ないの」
「え? 友里スーツ3着ほど持ってたよね、あれじゃだめなの?」
「うん。だめなの」
私は、亮に入園式用スーツの画像を見せた。
「確かにこういうのは持ってないのはわかるけど……うーん。友里、持ってるものでなんとかならない?」
持ってるものでなんとかなるなら、こうやってわざわざ相談なんかしない。セレモニー用のスーツはノーカラージャケットが定番なのを、どうしてもわかってもらいたかった。
結局、亮がしぶしぶOKしてくれたので、私は週末にスーツを買いにひとりで出かけることになった。
それにしても、必要なもののお金を出し渋るようになったのは、私が働いていないせいなのかな…?
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