もはや奇跡ではなく呪い。誰ひとり幸せにならない選択と真実の告白【君が心をくれたから#7】
真実を伝えれば、太陽は責任を感じて自分を永遠に責め続けるでしょうし、隠し続けたとしても、愛する雨が目の前で徐々に五感を失っていく姿を目にすることや、雨の受難を一緒に抱えて生きていくことは太陽にとって苦しいことかもしれません。
どちらの方が幸せだったのか?そもそもこの奇跡は起こすべきだったのか?とまで考えてしまいます。運命に従っていたほうが、あるべき人生に収まって幸せだったのかもしれません。雨の受難によって、雨本人や周囲の人間の苦労や悲しみ、それが続く期間まで増えているようにも思えます。
ただ、目の前で愛する人の命が失われようとしている時、あの一瞬で判断を迫られ、そこまでの未来を予想し、全てを見通して決断できる人は少ないでしょう。
■幸せな人が生まれないこの奇跡は、もはや呪い
雨、太陽、どちらの気持ちも分かるだけに、見ていて本当にもどかしいし切ないですよね。太陽を助けたいというまっすぐな雨の気持ち。自分なんかのために、大切な雨から五感を失わせるなんてしたくない、という太陽の気持ち。
せっかくの奇跡のはずなのに、この中に幸せな人はいるんでしょうか。太陽が生き延びたことで、雨は目的を果たせて幸せなはずですが、当然ながら五感を失う苦しみに押しつぶされそうになる瞬間も多い。