もはや奇跡ではなく呪い。誰ひとり幸せにならない選択と真実の告白【君が心をくれたから#7】
これはもう奇跡ではなく、もはや呪いなのでは。
■とうとうやってきた、視覚のリミット
次に失われるのはとうとう視覚だと、親切設計スマートウォッチによってお知らせされました。やはりこの時計は、あの世からの支給品とはいえ定期的に充電が必要なのか?など、細かいことも気になりつつ、そのタイムリミットは1ヶ月後の桜祭りの日。
「雨ちゃんからたくさん奪ったから」と言う太陽に「そんなことないけどな。そう思うなら一つだけもらっていい?あなたの花火を私に見せて」と、桜祭りに太陽の花火を見せてもらう約束をします。
「そんなことない」という言葉には、「奪われたものよりもたくさん心をいっぱいもらったよ」という気持ちがこもっているのでしょうね。
そしてまだ完璧な花火を作れない、と太陽は思っているようですが、もうここまでくれば何でもいいのです。太陽が雨を想って上げてくれた花火であれば、それは雨の目と心と記憶に残るものになるはずです。
質が悪いと翌年の発注が難しくなるとの話はありつつ、事情を便秘父に話して、数玉だけでも太陽の花火を上げることがかなえば、それだけでもいい。
触覚を失い、力の加減も分からず、いよいよ歩くことも、ミサンガを結ぶことも難しくなり、生活に大きく支障が出てきた雨。