「本当に好きな人からは好かれない」のはなぜ? 『傲慢と善良』から見える現代恋愛のこじれ
誰かを好きになる時、自分と相手のレベルが同じかどうかなんて、気にしたことはなかった人も多いはず。だけど大人になるにつれて、身の丈に合わない恋は上手くいかないことを知り、自分の立ち位置をわきまえるようになっていくでしょう。そして、恋愛は自分が選ぶだけでなく「相手にも選ばれる」ことで、はじめて成立します。だからこそ、苦しい。
私の周りにも「どうでもいい人には好かれるのに、本当に好きな人からは求めてもらえない」と嘆く友人もいます。私たちは知らずしらずのうちに、自分と相手のレベル感を図っています。自分よりレベルが下であると感じれば恋愛は成就せず、相手にそう思われた時も、また然りです。私たちは常に、生活の中で自分と他人を比較しているのです。
するとどうしても「あの人の方がかわいい」「結婚しているあの人の方が私より幸せ」など、誰かと比較した幸福に憧れます。自分らしさを考える時も誰かとの差別化を考えてしまうし、自分だけでは足りない部分を、パートナーの魅力で補おうとしてしまう……競争社会に生きるからこそ私たちは苦しいのだと、考えさせられます。■結婚できないのは、特別な欠陥があるからじゃない
『傲慢と善良』のメインとなる登場人物たちはみな無自覚な傲慢さを持っており、それぞれの生きづらさを抱えています。