帰ってきた言葉のタイムカプセル。自分の言葉が導いた選択と別れ【海のはじまり#9】
と、夏に別れを告げます。
夏も「2人のどちらかを選ばなきゃいけないなら海ちゃんを選ぶ」とはっきりと伝え、2人の進む道がはっきりと分かれたのでした。
駅まで送るまでの道すがら、夏が弥生の手を握ったのが印象的でした。
2人の間に海がおらず、海ではなく互いの手を握ったのは久しぶりのこと。
夏が涙を流す中、気丈にふるまっていた弥生が電車に乗ってからは夏に背を向け、一切振り向くことがなかったのは、好きなのに別れる2人の決意を揺らがせないためだったのでしょうか。
背を向けながら、夏に涙を見せないように泣く弥生。きっと弱さを見せたら2人の気持ちが変わってしまうかもしれないから。■良くも悪くも、弥生の人生を変えてしまった言葉
弥生の言葉で水季は産むことを決意しましたし、弥生は夏と別れて自分の人生を生きることを決めました。
これだけ見ると、「弥生の言葉が、水季の人生も変え、自分の人生もまた、変えてくれた」悲しい美談のように見えます。
しかし裏を返せば、「弥生の人生を望まぬ方向に大きく変えてしまった」ということでもあります。弥生があの時、あの言葉を綴っていなければ、きっと水季は産む決意をしていませんでした。