2016年10月19日 19:00
シャネル、エルメスを担当する人気DJイネス・メリア「空間自体が作品になる」【INTERVIEW】
が最も良い例だろう。音楽とファッションは常に呼応しながら、さらに高みを目指していける存在なのだ。また、イネスがこれだけファッション業界に愛される理由は、彼女の音楽の才能だけではない。ショーやパーティで求められるのは、ブランドの世界観を引き出し瞬間的に特異な空間を生み出す演出技術。「ブランドのための私の音楽は、その空間の一部にしか過ぎない。ブランドイメージ、ファッション、パーティの趣旨、参加者の趣向など全てを頭に入れた上で作曲をするの。音楽・ファッション・アート、全てが混ざり合い総体となって生まれる空間自体が作品」と語る。全てのジャンルを超越してインスタレーションでこそ完成する空間。
その中にいる人たちは、鑑賞するというよりも“体験”する感覚に近い。SNSを通してリアルタイムでショーやパーティの様子を見ることが出来ても、その場に居合わせた者にしか感じることの出来ない特別な経験を得ることになるのだ。“体験”は最近のラグジュアリーブランドにとって一つのキーワードでもある。エルメスやフェンディ、シャネルなどのラグジュアリーブランドがクルーズコレクションの発表の場を地方やリゾート地で開催する理由も、わざわざ時間をかけて足を運び、その場の空気を味わうことこそが現代人にとってのラグジュアリーだと提唱するため。