「どうやって耐えたの?」
「ある人に言われたんだ、理不尽なことも一旦受け入れろって」
「……?」
よっぽど変な顔をしていたのだろう。
大和は、「何だ、そりゃって思うよな」と笑った。
「物事には必ず意味があるから。受け入れることも大事なんだって」
「それで、何か変わった?」
「受け入れたあと、どうするかは自分次第。教授から受けたパワハラを全部記録して、上に報告した」
「すご……」
爽やかな顔をしながら、やる時はやるんだ。
「しおちゃんもさ、今は辛いと思うけど、いつか見返せる日が来るから。その時まで悔しさは温存しといたら?」
「私はそんなに、ねちっこくないけど」
「励ましてる相手をディスるなよ」
不思議。大和と話していたら少し気が楽になった。
◆
頼れる男
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「退院、おめでとう!」
「ありがとう……って、これは何?」
「退院祝いの花だけど、好みじゃなかった?」
車の運転席に座った大和が、肩をすくめた。
「そうじゃないけど……」
「喜んでもらえると思ったんだけどな」
もちろん、嬉しい。
お花をもらうのって、どれくらいぶりだろう?
新実さんは、そういうの一切しないタイプだったし……。