くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)

「どうやって耐えたの?」

「ある人に言われたんだ、理不尽なことも一旦受け入れろって」

「……?」

よっぽど変な顔をしていたのだろう。

大和は、「何だ、そりゃって思うよな」と笑った。

「物事には必ず意味があるから。受け入れることも大事なんだって」

「それで、何か変わった?」

「受け入れたあと、どうするかは自分次第。教授から受けたパワハラを全部記録して、上に報告した」

「すご……」

爽やかな顔をしながら、やる時はやるんだ。

「しおちゃんもさ、今は辛いと思うけど、いつか見返せる日が来るから。その時まで悔しさは温存しといたら?」

「私はそんなに、ねちっこくないけど」

「励ましてる相手をディスるなよ」

不思議。大和と話していたら少し気が楽になった。




頼れる男

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)
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「退院、おめでとう!」

「ありがとう……って、これは何?」

「退院祝いの花だけど、好みじゃなかった?」

車の運転席に座った大和が、肩をすくめた。

「そうじゃないけど……」

「喜んでもらえると思ったんだけどな」

もちろん、嬉しい。

お花をもらうのって、どれくらいぶりだろう?

新実さんは、そういうの一切しないタイプだったし……。

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