くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)

物事を受け入れてから、どうしたいか自分で考える。

大和が言った通りにやってみよう!

「ご迷惑をおかけしてすみませんでした」

深々と頭を下げた私に、新実さんは「いや」と短く答えた。

「怪我はもう良いのか?」

「はい、問題ありません。それで、あの……プロジェクトチームに戻してください」
「そうだな……いや、当分は雑務を頼む」

「え?」

「まだまだ本調子じゃないだろ」

「平気です! これまで通り……いえ、今まで以上に働きます」

「そうは言ってもまだリハビリとかあるだろ。それに、やっとプロジェクトチームがまとまり始めたところなんだ。かき回したくない」

「かき回すって、元々あの案は私が、」

そこまで言いかけたところで、新実さんが大きく2回手を叩いた。

業務準備に取りかかっていた社員たちが、一斉に注目する。

「ちょっといいか、報告がある」

新実さんはそう言うと、部屋の端っこの方にいた雪村さんに向けて手招きをした。


「私事で申し訳ないが、このたび雪村さんと婚約する運びとなった」

「わー、おめでとうございます!」

部署内に驚きの声と祝福の言葉が飛び交う。

隣にいた旭日も目を丸くしながら、私の服を引っ張った。

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