くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)

「例のプロジェクトから高杉さんを外すようにお願いしたのは、私です」

「はっ?」

「あれ~忘れちゃったんですか? 私の伯父さんが常務だってこと」

「……」

「私をあんまり怒らせない方がいいですよ。じゃないと、彼氏だけじゃなく職も失うことになりますよ」

勝ち誇ったような表情で鼻を鳴らす。

悪魔のような顔をした雪村さんに呆然としてしまい、何も言い返せなかった。



本当の私

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)


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「信じられない!」

「しおちゃん、落ち着いて!」

退社後、むしゃくしゃした気持ちがおさまらない私は大和に連絡を入れた。

ちょうど彼も仕事が上がりだったようで、近くの居酒屋で落ち合って愚痴を聞いてもらうことにした。

「何が『職も失うことになりますよ』よ。小娘が」

「小娘って、歳いくつなの?」

「26? 27だったかな……知らない!」

「俺と同じくらいじゃん」

ビールと、お通しの枝豆が運ばれてきた。乾杯をするのも待ちきれずジョッキに手を伸ばしたところで、大和に止められた。


「しおちゃんは、こっちのノンアルね」

「えー! やだ」

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