「嫌じゃない。骨折が完治するまで禁酒だってば」
「そんなぁ」
大和の意地悪、ちょっとくらい飲ませてよ。
「それで? 何か言い返したの?」
「何にも言えなかった」
「しおちゃんらしくないじゃん。ぎゃふんと言わせちゃえば良かったのに」
「ねぇ、私らしいって何?」
強気で、負けず嫌いで、根性派で?
強いから1人でも生きていける? そんなわけないでしょ、私だって本当は――。
「知ってるよ、本当のしおちゃんは繊細で不器用で、泣き虫だ」
目の前にいる大和の顔がぼやけて見える。
子供のようにしゃくりあげて泣いてしまった私に、彼は何も言わず。
着ていたパーカーを頭からかぶせて、隠してくれた。
理想じゃない恋のはじめ方。
第4話に続く…
『体臭治療』でカウンセリングへ。医師に施術を勧められ…だが次の瞬間⇒「85万!?」予想外の見積もりとは!?