くらし情報『【TOKYO MER感想 最終話】人が人を救うということ・ネタバレあり』

【TOKYO MER感想 最終話】人が人を救うということ・ネタバレあり

「それが当たり前にできる人たち」ではない。

私たちと同じ痛み、生活の苦しみ、喜怒哀楽があり、その延長上で学び研鑽(けんさん)を積み、必死に治療にあたっているのだという提起である。

そして過去の救命医療が遠因で妹を失い、絶望の淵にあった喜多見は苦闘するMERチームのためにもう一度立ち上がる。

何かで深く傷ついて内在していた動機を見失い、心の火が消えた時、それを自分で付け直すのは難しい。

だが、時に外にある『かたち』が、過去に自分が残してきた人脈や仕事が消えた火をつけてくれることがある。
人を傷つけるのも人ならば、人を救いあげるのもまた人だ。

物語の最後に喜多見とチームの面々は、銃撃で瀕死の重傷を負ったテロリストの椿を手術する決断をする。これまでMERが手術を行う時に常にあった高揚感のない、重苦しい救命だった。


拍手でも歓喜でもなく、静かに涙を流して最後の手術は終わる。

「目の前の命を見捨てたら俺は医者じゃなくなります。俺たちはMERじゃなくなります」

妹を殺した相手を救命し、淡々と語る喜多見の言葉には人が人の命を救うことの重みと哀しみが滲んでいた。

勧善懲悪のヒーローではない、揺れ迷いながら生きる、1人の人間である医療従事者の物語だ。

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