【『最愛』感想 8話】献身と表裏にある孤独・ネタバレあり
だが、彼女にとって加瀬は人生の大切な一部だけれども、すべてではないし、おそらく大半でもないはずだ。
ふと、加瀬という男にとって真田梨央は人生のどのくらいの割合なのだろうと考えてみる。今のところ、まだそれを想像させる手がかりは少ない。
今週のラストで、渡辺昭(酒向芳)殺害の現場にあったペンの出所が明らかになる。
宮崎大輝(松下洸平)が、梨央や優との縁が切れないところから連鎖して、それが明らかになる過程はいかにも『最愛』という名のドラマらしい、やるせなさと高揚である。
たった五人だけが持っている特注品のペン。
誰が、とそれをカウントしていく時、これまでかかわり続けてはいても、犯人としての範疇からはずっと外れているかのように見えた一人が炙るように浮かび上がってくる。どうか、巧妙なミスリードであると思いたい。
同じ形のままでも、間違いなく事件は絞り込まれている。
何かがむき出しになり、それぞれが自分の欲や感情を露わにして動き出そうとしている。
この物語を見守ってきた私たちも、もう間もなく真実の形にたどり着くだろう。
最愛/TBS系で毎週金曜・夜10時~放送
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[文・構成/grape編集部]
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