2022年9月25日 10:00
困っている人にさっと声をかけ、手を差し伸べる反射力が、世の中を穏やかにするのではないか
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
手を差し伸べる『反射力』を
先日、マーケットの駐車場に車を停めたときのこと。駐車場は遊歩道の生垣に接しており、左からおじいさんが、右方向からは30代くらいのカップルが歩いてくるのが見えました。
全身が見えるわけではなく、生垣の上に胸から上が見える……という感じでしょうか。すると、突然おじいさんが視界から消えました。転んだのでしょうか。
右側から歩いてきた二人は立ち止まることなく、おじいさんの横を歩いて行ってしまいました。
私はその一部始終を見ていたのですが、一瞬意味がわかりませんでした。おじいさんが目の前で転んだ。
駆け寄ることも、手助けすることもなく通り過ぎていった。それは、とても奇妙な光景でした。
そう言えば、3年前に転んで手首を折ってしまったとき、まわりに何人も人はいたのですが、駆け寄ってくれたのはおじさん一人でした。