くらし情報『困っている人にさっと声をかけ、手を差し伸べる反射力が、世の中を穏やかにするのではないか』

2022年9月25日 10:00

困っている人にさっと声をかけ、手を差し伸べる反射力が、世の中を穏やかにするのではないか

抱き起こしてくれ、救急車を呼んでくれました。とても心強かったことを覚えています。とても自分で救急車を呼べるような状態ではなかったですから。

まわりには、ただ無表情に私たちを眺めている人もいました。それもまた奇妙な光景でした。

困っている人にさっと声をかけ、手を差し伸べる反射力が、世の中を穏やかにするのではないか

私はとりあえずティッシュペーパーを持って、おじいさんのところへ行きました。おじいさんはよろよろと自力で立ち上がり、手についた土をはらっていました。

大丈夫ですか?お怪我はないですか?と声をかけると、おじいさんは困った顔をして言いました。


「大丈夫です。いつもつまずいて転んでしまうのです」

困っている人にさっと声をかけ、手を差し伸べる反射力が、世の中を穏やかにするのではないか

91歳の父の姿が重なりました。つい先日、父は転んで肋骨を折ったばかりでした。足が上がっているようで、上がっていない。

老齢になると、イメージと現実の体の動きにずれが出てきます。まだ老齢とまではいかない私も、時々ちぐはぐな体の動きをしていることがあります。

転んだとき、父は誰かに助けてもらっただろうか。戸惑っていなかっただろうか。
土をはらうおじいさんを見守りながら、これは他人事ではないと思いました。

困っている人にさっと声をかけ、手を差し伸べる反射力が、世の中を穏やかにするのではないか

困っている人がいることをわかっていながら素通りしたとき、いつも小さな罪悪感を覚えます。

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