美輪明宏さんの愛のメッセージ「“アナログの力”を失わないで」
あくまでも人間が主でなければいけないのです。今は力関係が逆転しかかっています。
とくにAIの人工知能が人間の代わりにいろんなことをやるようになりました。これからもっとAIが進歩したら、力関係の逆転がもっと早く進むかもしれません。
ただし、人間の皮膚、ため息、まなざし、そして手触りの感覚など、AIが人間に代わってできないものもあります。
“介護にロボットを!” と、声高におっしゃる人もいますが、ロボットの声は機械で作った音。そんな声でずっとしゃべられてごらんなさい、優しさが伝わると思いますか。
介護でそっと手と手が触れ合ったときに、温かな脈拍が伝わったり、何も言わなくても目と目が合ったら優しいまなざしを感じたりできるのは人間だけです。
かすかにまばたきをしたとか、ふっと息がかかるとか、そういう皮膚感覚は、どれだけ科学が進んでもAIには無理です。
人間の何げない動きから生まれるつながりこそが、生きている証しでもあるのです。恐ろしいのは、世の中がバーチャルとリアルでごちゃ混ぜになっていること。いずれ人間は、どこかで危険を感じ、本能的にデジタルと正反対のアナログに回避すると思っています。