美輪明宏さんの愛のメッセージ「“アナログの力”を失わないで」
実際、最近はアナログレコードがどんどん売れるような動きもあります。
人間はどこかでマズイと感じたら、再び正反対なものにまた戻ろうとする、そういう本能が働くと思います。“アナログの力”が必要になるんです。
若い人にもそんな力を持っている人が、たくさんいます。体操の内村航平や白井健三とかね。あれこそアナログでしょ。
それから藤井聡太七段。あれも機械じゃないんですよ。
人間の頭脳と情緒とか人格とか、そういったものの集大成が人の心を動かしている。
たどたどしい日本語で一生懸命コミュニケーションをとろうとする、女子テニスの大坂なおみにも人間的な魅力を感じます。
クイズ番組で東大生たちがいろんな知識を披露しているじゃないですか。あれもアナログですよね。デジタルと対等に向かい合ってるわけだから。
私は、進化を続けるデジタル時代を否定しているわけではありません。
「温故知新」――古きを学びて新しきを知る。そういう知識をつけることで、今の自分の立ち位置、置かれている状況などが見えてくるのです。
そうすると、自分がどれだけありがたい生活をしているか。ふだんは考えることのなかったいろんなことが学べて、新しい発見もいっぱい出てくるはずです。