高嶋政宏の成熟した面白さは“注目されないこと”で生まれた
SかMかと言われると、「Sだと思ってたけど、Mだと思う」というスイッチャー気質(SもMもどっちも行けるタイプ)を語る彼。本書を読み進めるまでどれだけ濃い性癖が披露されているのかドキドキしたものでしたが、いい意味で“意外性”を見せつけられたのです。
本書で高嶋さんは「SMとプログレッシブ・ロック(以下プログレ)の伝道師」と自ら広報係を買って出ていると公言しています。でも内容を見ていくと確かにSM愛とプログレ愛は強いものの、ドン引きするほどの変態性を語るではなく“あくまでも初心者が関心を持って読み進められるような濃度”にとどめています。それよりも「好きを突き詰めること」「カッコつけずに生きること」の大切さが熱く熱く語られており、ちょっとだけ勇気をもらえる内容になっているではありませんか。
もともと芸能一家という、特殊かつ経済的に恵まれた家庭に生まれた高嶋さん。しかし学生時代はいわゆるデブで冴えない“スクールカースト最下層”の時代を経験していたことが語られています。今のダンディな姿からは想像もできません、しかし今でいう中二病気質のようなものを、お金と時間と凝り性な性格を全力でつぎ込み成熟させた。