ラストエンペラーの姪が雅子さまに渡したアサガオの種
「日中友好に生涯を捧げた父と母が愛した庭でしたから、若い世代の方々が、この庭を通じて、隣国や平和への関心を持つきっかけとなっていただければと願うのでございます」
兵庫県西宮市の武庫川女子大学附属中学・高校にある「日中友好の庭」。2月半ばの好天に恵まれた日の午前。庭の寄贈者で、同市在住の福永こ生さん(78・『こ』は樗の字の木へんが女へん)は、寒風に耐えるような木々を愛おしそうに見やりながら、みやびな響きをもつ美しい日本語で語り始めた。
「本当は、もっとカラフルなお庭なんですが、今は冬枯れの時期だけに、残念でなりません。ここの植木も庭石も、かつてわが家にあったものを寄贈させていただきました。中央のモミジは、父のいちばんのお気に入り。かつて父は日本の来るたびに、大好きな日本酒を嗜みながら眺めておりました。そして、白雲木。
母が結婚して満州(現・中国東北部)に渡るとき、赤坂御所で貞明皇后(大正天皇の皇后)が、御自ら種をお拾いくださって『記念に満州に植えるように』と賜ったそうでございます。その種から育った木の孫木になります。ここに来ると、どの木や花を見ても父や母を思い出します。懐かしゅうございます」