2019年4月25日 06:00
死刑確定から10年…林眞須美の長男、結婚を前に母へ思い巡らす
のままであることも多くの憶測を呼び、事件は、平成の犯罪史に代表するものとなった。
「なんとか、ここまで生きてこられました」
絞り出すようにして語るのは、林夫妻の長男の信一さん(31・仮名)。身長は182センチあり、男性ファッション誌から抜け出してきたような端正な顔だちをしている。
「施設にいたときは、林眞須美の子どもということで、ひどいいじめがありました。父が出所したのが、高校卒業の年。学校までマスコミが押しかけてきましたが、なんとか卒業しました。ただ、卒業後に行くあてがなくて。施設を出たら、寝泊まりする場所がない。
駅の障害者用トイレや公園で野宿もしました」
やがて姉のアパートに住所を移して、アルバイトを始めた。
「居酒屋のバイトで、胸の名札を見て、林眞須美の子どもだと目ざとく気付くお客さんもいました。当然、その場で解雇です。『衛生上よくない』と、解雇理由を告げられたこともありましたね」
母に、被害者についてどう思っているのかを尋ねたことがある。答えは、こうだった。
「私も子ども持っている。子どもを失った親の気持ちはわかるし、気の毒だと思う。でも憎しみの対象として私に矢を射られても困る。