2019年5月16日 06:00
前日銀副総裁「消費税増税がリーマン・ショック級危機を招く」
安倍政権下で、まさに日本の金融政策の中枢にいた岩田さんは消費税増税に強く反対している。消費税はこれまでも、日本経済に大打撃を与えてきたという。
「’97年に3%から5%への増税の直後に消費が落ち込んだとき、財務省はアジア通貨危機が原因と主張しましたが、デフレになろうとしているときの増税が原因でした」
デフレ下で増税すると、消費が落ち込み、企業の業績が悪化し、賃金はさらに減る。それがさらなる消費の落ち込みを招き、収入減、失業者の増加、年金不安など、深刻なデフレ不況を招くのだという。
「私が副総裁に就任した’13年3月、アベノミクスが始動したころを振り返っても同じです。当時、日銀が大胆な金融緩和に舵を切り、株価が上がり、利益を得た人が消費するなど、景気は上向きつつありました。ところが、せっかくデフレ脱却のロケットが打ち上がったのに、まだ軌道に乗らない’14年に8%への増税を断行し大失速。家計の消費が一気に冷え込み、デフレ脱却が遠のいたのです」
その後、’16年後半から世界経済が好調で、輸出企業が収益をあげることで、なんとか持ちこたえることができた。