「終身雇用難しい」トヨタ社長発言にお膝元・豊田市の反応は
今よりもずっと家庭的な雰囲気がよかったですね。従業員に対しても優しかった。解雇は、昭和25年の労働争議で人を切ってからは、一度もありません。トヨタに就職したら、最後まで面倒を見てくれるし、その恩返しとして、社員は会社のために尽くしてきたんです」
現在、独立している元トヨタマンも、こう振り返る。
「製造業では、ダントツの待遇でした。私が働いていたころ、30歳前後で一軒家を購入して、定年前の50代でローンを完済する人も多くいました。福利厚生も手厚く、家を購入した後、海外赴任した社員には、会社が家を借り上げて家賃が生まれる制度までありました」
この好待遇による甘えが、終身雇用の“危機”発言につながったのではないかという見方も、現役世代からは聞こえてくる。
「社内でできることも外注のほうがコストがかからない。
すると“何をやればいいのかわからない”という人が出てきます。就職さえすれば一生安泰……そんな給料泥棒なおじさんがいるのは確か。一方、若手にも、それほど強い忠誠心を感じなくなってきた。終身雇用を約束するより、待遇や労働条件をよくしたほうが人材が集まると思います」(事務系)
それを同社の内情に詳しいモータージャーナリストが補足する。