『天邪鬼のすすめ』下重暁子さん語る「人生100年時代の処世術」
私の母は、私が社会人になってからもずっと『暁子命』のように振る舞っていましたから、それはとても苦しく感じられたものでした」
下重さんは、家族といえども、「個々がすきなことを好きなように生きたほうが、お互い健全でいられる」のだと続ける。
「結婚しても子どもが生まれても『個』というものがあります。妻として母としての役割で生きてきて、必要以上に家族というものに縛られるのは、誰のためにもならないんです」
■夫をうまく使う
テレビ局の報道マンと結婚した下重さんは、夫のことを「つれあい」と呼ぶ。一人暮らしのころから、彼は買い物にも行き、料理をつくって酒を楽しむマイペースな生き方をしていた。その後に就いた大学教授を辞めた後は、時間のある限り毎食、料理を作るという。
「つれあいは、地に足のつかない私に生活の大切さを感じさせてくれました。好きなこと、向いていることを、それぞれがしているというのが、私たち。使えるところを使いあって、暮らせばいいんです。
今日も、帰れば晩ご飯ができているはずですよ(笑)」
■夫に趣味を極めてもらう
下重さんの夫は、10年ほど前から鎌倉でお茶を習っている。家で花も生けはじめた。