安倍政権“勝利の代償”――日米貿易交渉で農業が生贄になる
その一方、5割を超える人が“生活が苦しい”と答えています。アベノミクスが、富裕層と庶民の格差を大きくさせてきたのは明らか。しかも、参院選の結果を受けて、これまでの政策はこれからも続くでしょう」
今後、その格差が広がっていくのは確実だと森永さんはみている。
「1億1,000万円以上投資可能の資産を持つ億万長者は急増し、’17年に国内に約316万人。その数は前年から9.4%も増えており、今後も増加していくことが予想されます。ところが庶民の実質賃金は累積で4%下がっています。富裕層が庶民の所得を奪う形で、いっそう、金持ちになっていくでしょう」
持てる者と持たざる者の差が開いていく状況をさらに悪化させるのが、アメリカとの貿易交渉だという。元・神戸大学大学院教授で「暮らしと経済研究室」主宰の山家悠紀夫さんが語る。
「再選を目指し、これから本格的に選挙戦を繰り広げるトランプ大統領としては、日米貿易交渉での成果を自国民に示したいところ。一方、トランプ大統領に参議院選挙の影響を考慮されて“参院選後にやろう”と交渉を延ばしてもらった安倍首相。勝敗はおのずと見えています」
森永さんも、日米貿易交渉の見通しは暗いと警鐘を鳴らす。