安倍政権“勝利の代償”――日米貿易交渉で農業が生贄になる
「昨年9月の日米首脳会談のあと、安倍首相は“ウインウインの関係を築く合意”だと自賛しましたが、実態は惨敗です。アメリカが日本から輸入する自動車に25%の関税をかけると脅され、日本はTPP(環太平洋経済連携協定)に参加する国と同じ水準まで関税を下げることを約束してしまったのです。日本は自動車を守るために、農業を生け贄に差し出すことになるでしょう。アメリカから安い農産物が入ってくるようになれば、日本の農業や畜産業は壊滅してしまいます」
日米貿易交渉によってもたらされる格差は経済だけではないと松尾さんが語る。
「農業が立ちゆかなくなると、地方はますます疲弊します。若者は都会を目指し、東京の一極集中が進むことに。安倍政権が頼みの綱にする東京五輪も地域格差を拡大します。東京オリンピック・パラリンピックまでは、首都圏に人も仕事も集中。
東京にいると、しばらくの間は、消費増税の景気の落ち込みは感じにくいかもしれません。しかし、五輪特需の恩恵を受けられない地方経済は衰退に拍車がかかります」