2019年8月25日 11:00
樹木希林さん人気なぜ続く?作品からみえる執着しない生き方
探っていくと、文章からも画面からも感じられる“自由さ”と“大きさ”にあるのではないかと思います。
■樹木希林という女性から取れる“自由さ”と“大きさ”
彼女から感じる自由さと大きさ。それをもう少し具体的に言葉にするなら、「何物にも執着しない」ということなのだと思います。
著書には晩年は多くのことを手放していく思想が生き生きと描かれており、老いも、仕事も、身なりも、そして死すらも執着しない姿勢が綴られています。
「私のことを怖いという人もいるみたいだけど、それは私に欲というものがないからでしょう。欲や執着があると、それが弱みになって、人がつけこみやすくなる」(一切なりゆき 樹木希林のことば、文春新書)
「年を取ったら、みんなもっと楽に生きたらいいんじゃないですか。求めすぎない。欲なんてきりなくあるんですから」(樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ、宝島社)
このように晩年いろんな物から解き放たれる彼女の姿は、人の目や評価が行き届きすぎた今の世の中において羨ましいほどの自由を感じさせてくれます。
■遺作「命みじかし、恋せよ乙女」で見た、彼女の最期の美しさ
また、そんな彼女の自由さは目にするだけで暖かさにも似た安心感を感じさせてくれます。