海老名香葉子 100歳まで平和を訴え続ける決意の理由
子どもにも同じ話をします。すると、わかるんですね。『バァバ、かわいちょう(かわいそう)』と、なぐさめてくれるんです」
香葉子さんは、かつて3月10日に家族と本所を歩いていて、一度だけ、声を荒げたことがあったと打ち明ける。
「東京大空襲で家族や大勢の人が亡くなったとされる小学校のあたりで手を合わせていたら、サンダル履きの男性が迷惑そうに、『なにしてんだ、こんなところで』と大声で怒鳴るんです」
思わず、言い返していた。
「今日は3月10日ですよ。あなた、この土地に住んでいて、どんな日か知らないんですか。あの戦争の惨禍を知らないのは、恥ずかしいことですよ。ぜひ、これをきっかけに知ってください」
香葉子さんは言う。
「あのときばかりは、子ども孫の前でしたが怒りました。でも、歴史の事実を知らない人がいるのも本当のことで、だから語り続けていかなければと思いました」
今も隣国との諍いや、不戦を誓った憲法の改正など、議論されるべき問題は多い。また芸能やお笑いの世界でも、権力の側に寄るあまり、物を言いにくい状況もあるのではないだろうか。
「私は、政治的なことは、よほど詳しく勉強しないと語れないと思います。