介護保険“改悪”議論が進行中! 要介護1、2は“対象外”に
とくに2割負担については、厚生年金受給者の平均年収でもある年収190万円以上ある人を対象にする案が具体的に出ています」(結城教授・以下同)
所得の基準を下げることで、国民の負担を重くし、国庫の負担を軽くしようという魂胆だ。
さらに、比較的軽度な要介護1と2の人を、介護サービスの“対象外”にすることも論点になっているという。
「通所介護と訪問介護が、要介護1と2に人が利用する介護サービスの3割を占めています。現在、介護保険において行っているこれらのサービスを、各自治体がボランティアを中心として行っている総合事業に任せようとしているのです」
各自治体の裁量に任せられた「総合事業」。介護サービスよりも利用者の自己負担額は安く抑えられるというが……。
「’15年の介護制度の改正で、要介護より軽度な要支援1と2が、総合事業に移行しました。ところが、介護のプロではないため利用者が満足なサービスが受けられないケースが続出。ボランティアの人材も不足しており総合事業制度そのものが破綻している状況なんです。
とても要介護1、2の受け皿にはなりえません。しかも、洗濯や買い物などの家事は専門職でなくてもできるかもしれませんが、認知症の人に受け入れられ、介助をするとなると、専門的な知識をもった介護職員でないと難しいのです」