2019年11月4日 11:00
65歳まで現役貫いた元全日空CA 8000人の後輩に「輝き方」伝え
だが、この日は満席となったファーストクラスの責任者として乗務、機内アナウンスも担当した。
「最後のアナウンスも、ふだんどおり、いつもと同じ内容を読み上げました」
どこまでも、いつもどおりに徹する。だが、飛行機に一礼して降り、到着ロビーに出ると、いつもと違う光景が目に飛び込んできた。大勢の同僚が、後輩が、仲間たちが大宅さんを待っていたのだ。もう涙ぐんでいる後輩CAが、首にレイをかけてくれた。
「驚きましたし、申し訳ない気持ちにもなりました。私のために、オフィスには200人以上の人が集まってくれていたんです。制服姿の人もいれば、休暇中の私服の人や、もう30年以上前に退職した元CAの懐かしい顔も。
そして、分厚いアルバム7冊分の、後輩たちからのメッセージカードをいただいて……」
あふれ出る涙で、カードの文字はかすんで見えた。
引退後も、人生相談や職場の愚痴の聞き役と、現役CAとの交流が続く。さらに講演依頼を受けて地方に飛んだり、友人に誘われて18年来の愛車・BMWでロングドライブに出かけたり。そうかと思えば最近始めた囲碁に「奥が深いですね」と夢中になったり。
「この記事が出るころには、ヒマラヤを見にネパールなんですよ」
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