ジャニーさん認めた振付師 重圧塗り替えた生前最後の言葉
と声を弾ませた。
「すごくお元気だったんです。その日ジャニーさんは、演出サポートをしている先生と別の作品の打ち合わせもされていたのですが、私にも『えっちゃんも、そう思うだろう?』って、意見を求められて……」
担当外の作品に首をつっこむのがはばかられ答えに窮していると、ジャニーさんは優しい眼差しで彼女を見つめ、そっと言った。
「えっちゃんの振りは、いつ見ても、本当に男っぽくてかっこいいよね」
川崎さんの背骨に電気が走った。
「ジャニーさんには、『すごくいいよ』と言われたことはありましたが、こんなにハッキリ褒められたのはあの時が初めてで……」
振付師という仕事の先駆者として、活躍の場を自ら開拓していった川崎さん。そんな彼女にとっても、稀代のプロデューサーからの褒め言葉は特別なもので、大きな自信を与えたのだ。
ジャニーさんが倒れたのは、その2カ月ほど後のこと。7月9日に逝去したジャニーさんから、もう、「えっちゃん」と呼ばれることはない。
手放しの賛辞が川崎さんへの遺言となった。「最後に大きな勲章を贈っていただいたように思っています」
そう話す川崎さんの目元には、光るものがあった。