無給労働に謝罪の手紙 一世風靡のダンス創った振付師の辛酸
ヤンキーにしか見えない。
「第一印象は『この人たち、汚い』だったんです(笑)。でも彼らの芝居を見た瞬間、『面白い、吸収したい』って直感しました」
それが、劇男一世風靡の前身、「劇男零心会」だった。
川崎さんに託されたのは、強面の男たちへのダンス指導だ。だが、全員がダンスを踊ることに納得していた訳ではなく、稽古の途中で椅子を蹴るなどの妨害をしてきたメンバーもいたという。川崎さんはそんな“不良たち”が輝ける振付を考えた。メンチを切ったり不良のポーズを入れ込むなど、彼らが輝ける振付を考えたのだ。今でも川崎さんを「先生」と呼ぶ哀川翔は、こう振り返る。
「先生は、俺らが何が嫌なのかをいつも考えてくれました。すごく熱くて、覇気がある。この人にぶつけると、形になって返ってくる。指導者としての確固たる存在感があったからこそ、俺らも信頼するようになったのです」
その後、選抜メンバーは一世風靡セピアとして『前略、道の上より』でシングルデビュー。一気に有名になっていった彼らと対照的に、当時の川崎さんはノーギャラ。しかも、スタッフによって、彼女の存在は隠されたという。
「毎日のようにお稽古に通うのが楽しくて、お金をもらおうという発想がそもそもなかったんです。