2020年1月17日 11:00
震災倒壊した生花店を14年後再開 勇気与えた美智子さまの花束
(写真:産経ビジュアル)
「“ドン!”と下からすごい力で築き上げられて、体が宙に浮いて飛び起きました。何が起きたのかわからなくて、近くで爆発でも起きたんかと思ってね。最初の揺れで家の1階が潰れて、私ら夫婦が寝ていた2階が“1階”になっていたんです」
森本照子さん(70)は、25年前に起きた阪神・淡路大震災の凄まじさを、そう振り返る。1995年1月17日、午前5時46分。淡路島北部を中心としたマグニチュード7.3の直下型地震は、神戸市を中心とした地域の人々の暮らしを一瞬で破壊した。森本さんは、とくに被害が大きかった神戸市長田区の老舗商店街・菅原市場で、生花店「花恋」を営んでいた。
「震災が起きた17日は、店を新装開店する日でした。夜中まで準備して、午前3時ごろに寝たばかりでした」
地震が起きた時は、真冬の朝6時前。
少しずつ空が明るくなっていく中で、森本さんが見た光景は信じがたいものだった。商店街はみな1階の店舗が潰れ、2階が道路にせり出すように道を塞いでいたのだ。建物の下敷きになった人々から、「助けて!」の声が響く。近所から出火した火の手が菅原市場周辺の店舗に迫ってきたのは午前7時前だった。