新型肺炎与える日本経済への打撃 長期化でGDP2兆円減試算
インバウンド消費に関して言えば損失は3,400億円以上になるでしょう。さらにGDP(国内総生産)では、損失額は5,270億円になります。日本人による旅行なども減るからです」
奈良市内ではホテルのキャンセルが3,000件以上にのぼったというが、その予兆ということなのだろうか。永濱さんより、さらに大きな経済損失を予測しているシンクタンクもある。
「野村総合研究所の試算によれば、SARSのときと同程度に観光客が減り、その期間が1年間続くと仮定すると、日本のGDPは実に2兆4,750億円も押し下げられてしまうそうです。それもインバウンド消費に関してだけの数字です。日本人の個人消費が悪化したり、企業の生産活動が停滞したりすれば、さらに大きな損失になるそうです」(前出・経済ジャーナリスト)
中国に工場や店舗を持つ企業の一部は、一時休業を余儀なくされている。さらに、その影響はすでに日本国内にも及んでいるのだ。
トヨタが生産している自動車の部品を作っている工場の関係者は言う。「トヨタさんの(中国国内での)生産が止まっていることもあり、うちが作った部品も納入できない状況が続いているんです……」
日本経済の冷え込みのほかには、どういった事態が起こる可能性があるのだろうか?中国事情に詳しい拓殖大学教授の富坂聰さんに聞いた。