池波志乃明かす中尾彬との終活「ねじねじ200本捨てたのに…」
だから『ちゃんと考えて吟味して買おう』というふうに考えるようになりました」
美術品や骨とう品の収集が好きな中尾さんにも、「2晩寝て、それでも欲しかったら買う」というルールができた。最初のうちは失敗もあったそう。
「1つ捨てはじめると結構平気になって『あれもこれもいらないよね』って捨てちゃうんですよね。それで『あ〜さっぱりした』と思ったんですけど……。あるとき、パウンドケーキを作ろうと思って粉を混ぜて、『さぁ次……、あれ?生地を入れる型がない。あ!捨てちゃったんだ!』って気づいて。それで慌てて買いました(笑)。だから捨てるときに『私はもう二度と本当にパウンドケーキを作らない?』みたいに、よく考えるようになりました」
多くのものを手放したが、迷わず残したものもある。
「家を整理していると、父(金原亭馬生)が、私の成人式のときに巻紙に書いてくれた“贈る言葉”が出てきました。これは捨てられませんよね」
〈何か面白くないことがあったら人のいないところで空に向かってどなりなさいお父さんのバカーと〉。落語家らしいユーモアと父の優しさが詰まった優しいメッセージ。中尾さんが額装の手配をしてくれて、大切に取ってある。