『エール』古関裕而さん 最愛妻に捧げた“五千曲のラブレター”
一方、正裕さんは両親と同じ音楽の道は選ばなかった。直子さん(72)と結婚し、長女の松本幸子さん(49)が誕生。裕而は、この内孫に、早速『幸子の子守唄』を作るほどの溺愛ぶりだった。ところが金子と直子さんの間で、孫の教育をめぐり、嫁姑問題が起きてしまう。
「芸術家肌で、何事にもまっすぐな母でしたから、孫の世話も全力投球。少しでも泣かせると、『ミルク、ミルク。おなかがすいてるのがわからないの』と、私たち夫婦を、すごい剣幕で怒るんです」
当の直子さん本人が語る。
「しかし、義母は、裏表のない人でしたから、怒ったあとはケロリでした。
親戚の集まりなどでは、『うちの嫁は体が弱いんだから、誰か椅子を持ってきてあげて』と言ってくれたり」
孫の幸子さんも、祖父母との思い出を語ってくれた。
「金子おばあさまは、真剣に『私とママとどっちが好き?』って聞くんです。それで『ママ』と答えようものなら、私の大事な物を隠したり(笑)。忖度も一切なし。祖父・裕而のことも、『うちの人は天才ですから』と、誰の前でも、しゃあしゃあと言ってのけましたから」
その金子さんが、乳がんを患った末に68歳で亡くなったのが’80年。