英国製ワクチンが9月供給見込みも日本での流通が難しいワケ
わずかな希望に懸けたいところだが、NPO法人「医療ガバナンス研究所」の上昌広理事長は、日本国内での流通に懐疑的だ。
「ワクチンが日本に入ってくる可能性は低いと思います。ワクチンは複数社で生産しない限り、供給が追いつきません。日本で認可されてもアメリカが優先されますから、数もほとんどないでしょう」
さらに、ワクチンの効力についても疑問の声が。北里大学生命科学研究所の中山哲夫特任教授はこう語る。
「アストラゼネカ社のワクチンに関しては未知のものという認識です。研究中のすべてのワクチンはまだ臨床の第一段階ですし、副作用の問題もあるので認証は慎重にすべきだと思います。日本に来る可能性も見えない以上、国策として日本国内での製造を目指さなければなりません」
5月上旬、安倍晋三首相は来年7月開催予定の東京五輪に向け、ワクチン開発を急ピッチで進めていると明かしていたが……。
「大阪大学と創薬ベンチャー『アンジェス』がウイルスの遺伝情報を使った『DNAワクチン』の開発を進めているそうですが、開発できても、国民が接種できるまでには時間がかかります。IOCによると五輪は一度しか延期しないそうですが、それまでにワクチン開発を間に合わせるのはかなり厳しいでしょう」