2020年6月8日 11:00
コロナDV被害者に救いの手 女性支援の医師が病院を駆け込み寺に
母は、20歳で父と結婚し、間もなく私と4歳下の妹を産んだんです。父は、医家の長男として生まれてチヤホヤされて育ったせいか、わがままな人で。自分の思いどおりにいかないと、すぐ母に手を上げていました。私も小さいときは、父によく殴られました」
対馬さんが幼いころ、母が泣きながら、こう話していたことが忘れられないという。
――ママは、自分で稼げないから、離婚したらあなたたちを養っていくこともできない。だから黙って夫に従うしかない。あなたたちは、夫と離婚しても死別しても、独りで生きていけるように手に職をつけなさい。
「母は、成績は優秀だったけど、女だからという理由で大学に行かせてもらえなかったようで。
悔しかったと思います。私が医者を目指したのは、自分で人生の選択をさせてもらえなかった母の怨念があったからかもしれません」
母の言葉が深く心に刻まれた対馬さん。医師として、そして1人の女性としても、女性の応援団として歩み続けてきた。コロナ禍を経て、その思いは、さらに強くなっている。
「世の中が大変になると、真っ先に切り捨てられるのは立場の弱い女性。残念ながら日本には、女性の心身と生活を支援する医療機関が、ほとんどありません。