萩本欽一が知る『エール』モデル「『歌の下手な人いません』と…」
ここ(心)に伝わりましたよ』『歌の下手な人なんていません。家族みんなの幸せな気持ちが伝わってきました』ってニッコリ笑うんですよ。だから、辛口コメントがポロッと出てしまう近江先生に、まずは話を振っていたんだけど(笑)」
当時の欽ちゃんといえば、オーディション番組『スター誕生!』(’71〜’83年・日本テレビ系)がスタートし、コメディアン・司会者として飛ぶ鳥を落とす勢いだった。しかし、古関さんら大御所たちと過ごした楽屋での時間は、“直立不動だった”そう。
「本番では冗談がいくらでも言えるんだけど、楽屋では緊張してしまって……。楽屋の中でもずっとお話をしているのは近江先生で、古関先生はというと、じぃ〜っとニッコリしながら話を聞いているんです。最後に近江先生から『ねえ古関先生、そうですよね!?』と言われると、『うん』とほほ笑む。これも『う』って声に出して言わないの。
首をちょこんと動かすだけ」
欽ちゃんが楽屋で感じていた緊張は、番組開始から10年も続いたという。
「あるとき近江先生が『欽ちゃん、もう10年たったんだから気を使うのはやめなさい。もう座ったほうがいいよ』とおっしゃって。すると古関先生が、ご自分が座られていたところから、ちょっとお尻を上げて、“とんとん”とたたくんです。