くらし情報『判決確定から10年…川崎協同病院事件の医師が見た終末医療の今』

2020年8月21日 11:00

判決確定から10年…川崎協同病院事件の医師が見た終末医療の今

だが、この判決後に、尊厳死や安楽死が日本でしっかりと議論されてきたとは言い難い。

「延命治療を選択しても、日本は医療費が安いため、経済的な負担は重くありません。加えて、患者も亡くなりませんから、延命治療という選択は家族や医療従事者への精神的な負担も軽い。とりあえず“延命”という選択が当たり前だったため、尊厳死などを、あまり深く考える機会がなかったという側面があるのだと思います」

それでも、須田さんは終末期の在宅医療を行う患者や家族と向き合い続けたという自負がある。だからこそ訴える。

「たとえば、延命効果のある胃ろうや人工透析、人工呼吸器などの取り外しに関しても、そろそろ本音で議論すべきです。現状、一度つないだ延命装置を外すのは、殺人に問われる恐れもあり、医療現場ではちゅうちょされる行為。その結果、積極的な医療に踏み出せない。
ALS患者は、7割が人工呼吸器を拒否、つまりその後の死を選択しているのです」

医療の進歩により“死なない社会”が加速するなか、どのように尊厳ある、自分らしい死に方を迎えればいいのだろうかーー。

「女性自身」2020年9月1日 掲載

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